「吸血桜殺人事件」の矛盾点からわかる今後の方針!

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新たにスタートした金田一少年の事件簿R リターンズ「吸血桜殺人事件」ですが、早くも時系列的矛盾が出てきました。

矛盾点

吸血桜殺人事件は二年の4月?

まず、この作品自体が桜の咲く季節という設定になっているので時期は3~4月あたりだということがわかる。

ミス研での真壁の発言では、「新歓」(※)と言っていることから、恐らく4月の新学期が始まってすぐの頃だと思われる。

※新歓とは?
新入生歓迎、新人歓迎の略。
主に、大学や高校のサークルなどにおいて、新人を歓迎して行われる様々なイベントのこと。

ここで、「ついに金田一シリーズの時間が進んだ!?」と思いきや、実はそうではなかった。

真壁は金田一の一つ上の先輩。
その真壁がいるとうことは、学年が変わっておらず、この話は金田一が二年生になったばかりの4月ということになる。

てことは、今までの高校二年生としての設定で起きた事件の中では最も古い事件だということになる。

佐木2号登場で時系列が完全に矛盾!?

金田一が佐木2号と呼ぶカメラ小僧の佐木竜二。
彼は、故・佐木竜太(不動高校1年生・ミステリー研究部メンバー)の弟。

兄・佐木竜太は「学園七不思議殺人事件」で、証拠のための存在として初登場し、後に、金田一の助手的存在としていくつかの事件に同行。
しかし彼は、「異人館ホテル殺人事件」で殺害されてしまう。

その後、どの作品かは忘れてしまいましたが、佐木竜太の遺志を継ぐ、弟・佐木竜二(不動中学3年生)が登場。
兄をも勝る金田一への熱い忠誠心から、彼もまた様々な事件に関わってくる。

「学園七不思議殺人事件」は、登場人物の服装はみな冬服となっていることから、季節は10月~6月の間。
金田一が屋上で昼寝をしているシーンがあることから、真冬ではないと思われる。

そして佐木竜太が殺害された「異人館ホテル殺人事件」は、金田一のシリーズでは珍しく日付が明確にされていて12月22日~25日の四日間。

つまり、事件の起きた順序は「学園七不思議殺人事件」→「異人館ホテル殺人事件」となる。

今回の「吸血桜殺人事件」でミス研に真壁がいて新歓で1年生がいる以上は金田一は2年生で4月というのは確定。

そして、佐木竜太が「異人館ホテル殺人事件」で殺害された後に登場した、佐木竜二・佐木2号がいるということは、この「吸血桜殺人事件」よりも前に佐木竜太は亡くなっていることになるため、「学園七不思議殺人事件」「異人館ホテル殺人事件」は「吸血桜殺人事件」よりも前、つまり、金田一が1年生の時に起きた事件だということになってしまう。

しかし、「学園七不思議殺人事件」当時、ミス研メンバーは、桜木、真壁が3年生、金田一、美雪が2年生、佐木は1年生だったはずで、完全に時系列が矛盾してしまっている。

ちなみに、アニメ版では諸事情により、佐木竜太が生存していることになり、その後も、本編での佐木竜二と同じ立場のキャラとして佐木竜太が生存したままの登場となっている。

さらに、補足として「異人館ホテル殺人事件」では、青森県警の俵田刑事が登場していて、金田一の力を見込んで同行を依頼してくるため、「異人館村殺人事件」もそれよりも前に起きた事件ということになる。

ここで改めて過去作品を時系列で並べてみるのも面白いかもしれない。

金田一とコンドーくんとの付き合い

今回も、やましいことを妄想して美雪との旅行でムフフとなっている金田一ですが、チームが決定した後に、「長年持ち歩いているだけで使っていないコンドーくん・・・」と言っていますが、そんなに長年ってほど長くは生きてないでしょうに(^^;
一体彼は何歳から発情して美雪を狙っていたのでしょうかw

彼は、時間が経過しない漫画の世界の中で、その部分だけは時間が進んでるんでしょうかね?
まあこれは読者に見せる台詞としていい表現ではあります。

佐木2号登場が定番漫画への伏線?

たまたま今回は佐木2号が登場したことで、単純な矛盾点に気がつき、探せばもっと沢山出てはきそうですが、ひとつ感じることがあった。

今回はもしかすると、佐木2号の登場で時系列が矛盾するが、あえてそうしたのかなと思った。

矛盾の認知

もちろんこのような矛盾、というか、時間が経過せずに同じことを繰り返す漫画やアニメは沢山ある。
本当はそのようなことはありえないし、話がおかしくもなりそうなのだが、一概にそういったわけではない。

普通に考える場合は、話の辻褄が合わなかったり、矛盾する展開というのは、言葉の聞こえ方では誰も見ない、人気は出ない、というイメージを想像するが、実はそうでもない。
「この作品は話が矛盾しているからヒットしない」ということはなく、むしろその逆で、「矛盾していたとしてもヒットする」といった作品がいくつも存在する。

その代表例が、日本を代表する超家庭的定番アニメ「サザエさん」、「ちびまる子ちゃん」の二作。

そのアニメの中の世界では、時間が経過せずに、何年も同じことを繰り返している。
かと言って、話の展開は季節や時間に関係のないストーリーが展開されているのかといえばそうでもなく、どちらの作品も、実際の季節に合わせて、「旬な話題」を取り入れており、アニメの中でも時間はきちんと経過はしていっている。

これは、今まさに「金田一少年の事件簿」に対して突っ込もうとしている現象ではないのか?
しかし、このことについて、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」に突っ込む人など日本にはほとんどいないだろうし、仮にそれをあえて突っ込もうとして話題に出そうものなら、「何言ってんの?」「アレはそういうもんだから」と返されてしまうのは目に見えている。

つまり、この「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」の矛盾した世界はその矛盾をも国民から認められ、「それはおかしい」を飛び越えて、「そうであるべき」といった形で認知されているのだ。

水戸黄門方式

いつかどこかで見たことがあるのだが、こういった形の作品の構成は「水戸黄門方式」と呼ばれているらしい。
今は時代が違うので呼び方が違うかもしれないが・・・。

この「水戸黄門方式」とはどういったものなのか?
それは、短い短編のストーリーの組み立て方にある。

「水戸黄門」を見たことがある方は、その話の展開を思い出してほしい。

・一行はとある街を訪れ、素性を隠したまま村人たちと触れ合う。
・悪人、悪代官、悪奉行に苦しめられていることを知る。
・助さん角さんが悪い奴らをこらしめる。
・助さんが印籠を取り出して村の者がみな光圀の前にひれ伏す。
・悪を成敗するわけではなく、これからの改善案を命じる。
・平和を取り戻した町をあとにし、また次の街を目指し旅へ出る。
・八兵衛のおまぬけな場面で笑って終わる。

これがいわゆる「水戸黄門方式」というやつで、配役、パターン、結末などがある程度決まっていて、その話の内容、登場人物、場所などをわずかに変えるだけで、起承転結の形式は変わらず、それが延々と繰り返される。

この方式は様々なドラマ、アニメ、漫画などで用いられ、子供向けのアニメなどではほとんどがこの方式で作られている。

「水戸黄門」をはじめ、古いものでは「暴れん坊将軍」「大岡越前」など、アニメでは「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「アンパンマン」など、幼児向けのものはほとんどがこの方式だ。
他は、今の時代では「プリキュア」シリーズ、昔で言えば「セーラームーン」あたり。
男子向けのものでは、昔からある「○○○○ジャー」などの戦隊ものシリーズが王道。

これらの全てを見ると、時系列やストーリー性は不思議な点がいくつかあったとしても、それが原因で面白くなくなるのかと言えばそうではなく、むしろ、どれをとっても毎回新シリーズが放送されれば大ヒットとなる。

つまり、そのストーリーの面白さや、話の繋がり方は重要ではあるが、一概にそれだけがヒットさせる手法ではないということだ。


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ウケる理由は○○が見たいから!!

先程も書いたとおり、これらの作品に対して「いつまで○○するの?何のために○○してんの?」などという質問は愚問であり、そのような質問をすれば逆に「何言ってんの?」と返されてしまうのがオチ。
それほどこの「水戸黄門方式」は日本人に認知されていて、それを楽しむことが当たり前となっている。

多少の矛盾点や、辻褄が合わない点があったとしても、そこはどうでもよくて、とにかく同じことの繰り返しでも、それはそれで楽しみにしている視聴者が多いのだ。

そういった視聴者は、もちろん先の展開はわかっている。
わかっているけどそれが見たい。

 

悪い奴がいて

こらしめて

助さん、印籠バ~ン!

 

キタ━(゚∀゚)━!!

 

 

 

バイキンマンがいたずらして

アンパンマンが助けに来るけど

「顔が濡れて力がでな~い・・・」

そこへバタコさんからのアンパンキラーパスで復活!

そして

「アーンパーンチ!」

 

キタ━(゚∀゚)━!!

 

 

と、これは、作品や回が違うだけで、他の作品に当てはめてみて頭で想像してみて下さい。
「水戸黄門方式」の作品は全て同じのはずです。

この『キタ━(゚∀゚)━!!』の瞬間がみんな大好きで、それが見たいがために毎回見ているようなもの。
そしてこれがまた日本人には相当ウケる展開だということだ。

もしかしたら、戦後から高度成長期を迎え、長い間ストレス社会で生きてきた日本人には、これがものすごくスッキリする瞬間なのかもしれない。
少し前に流行った某テレビドラマの「やられたらやり返す!倍返しだ!」もこういった日本人の特徴から流行ったのではないかなと思う。

「倍返し!」で思い出したことだが、この「水戸黄門方式」では、決まった登場人物と起承転結のストーリー展開は必須だが、「決めセリフ」的なものがあるのも特徴の一つだ。
それは、こらしめる時のかけ声だったり、技の名前だったりとジャンルは違っても、特定のセリフもほぼ固定されていたりする。
それもまた、「水戸黄門方式」が流行る、日本人が好む要因の一つなのかもしれない。


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今後の方向性

で、結局ここまでダラダラと書きましたが、何が言いたいのかというと・・・。

今回の「金田一少年の事件簿Rリターンズ『吸血桜殺人事件』」であえて時系列を崩してきた(もしかしたら他でもあったかも)ことで、原作者はそれらの矛盾を矛盾ではないとする線引きをしたのではないかと思う。

それはどういうことか?

今までこういった部分を「矛盾」と感じていた読者も多いだろうが、「高校二年生の名探偵が、様々な難事件を解決する」という設定にもさすがに限界が来ていて、どうしても辻褄が合わなくなってくる。

そこで、矛盾をあえて認めるような展開を使用することで、「それは矛盾とは言えない」「これはそういったものだから」と、いつかそう言われるようにしていく。
つまり、読者に「これはそういった作品だから」と認知させていき、少しずつ「水戸黄門方式」へシフトしていこうという今後の方針の変化ではないかなと感じる。

その「水戸黄門方式」は、本編の中の時間が先へ進まず、完結しないことで熱烈なファンはいつまでも楽しむことができ、また、出版社、原作者としても作品のロングヒットが見込めるので双方にメリットがある。

別の某小学生探偵の大ヒット漫画は早くからその手法を取り入れていて、組織との因縁は小出しにしながら、重要なストーリーと時間はほとんど進まないようにできている。

実際に作品は大ヒットし、「いつまで小学生だよ!」とか「いい加減組織と対決しろ!」とか突っ込む人はいるだろうが、だからといってその人気が落ちるわけではなく、やはり人気漫画なのには変わりはない。

この「金田一少年の事件簿」シリーズもそろそろその時期が来た。
というか、そうしなければ描いていけないし、もしかしたら出版社からの指導でそうなったのかもしれない。

そこらへんの事情はわからないが、この予感が当たっているとすると、金田一ファンの自分としてはとても嬉しいことだ。

ほとんど固定された登場人物、同じパターンのストーリー展開、そしてすでに有名になっている決めセリフ。
構成の王道「水戸黄門方式」の条件はほとんど揃っていて、あとは固定された黒幕、宿敵となる対象だ。

それがこの「金田一少年の事件簿Rリターンズ」シリーズからちょいちょい出てきている、「地獄の傀儡師『高遠遥一』」!

これで条件は全て揃い、実際に本編でも高遠が今後も事件は続くような発言をしており、これははっきり言って作品を終わらせないための伏線。
読者に対しても、「事件簿はまだまだ続くよ」というメッセージということになる。

つまり、時系列の矛盾や、年齢が変わらないというのは矛盾から除外し、この「金田一少年の事件簿」というひとつの世界を作り出そうとしているのだろう。

ある程度は完成されているようにも思えるが、どこかではっきり線引きをして、「全てのストーリーが繋がったもの」という概念から脱却し、「別々ではあるが裏のストーリーは繋がっている」という曖昧な状態にしておいて、それを維持していきたいのではないだろうか。

今回の「金田一少年の事件簿『吸血桜殺人事件』」の冒頭で、佐木2号が出てきてしまったことで、ここまで考えるのはもはや妄想もいいところだが、「金田一少年の事件簿Rリターンズ」シリーズが始まって以来、薄々感じていたことだし、今回の件で「やっぱりな」と思わせる設定であっただけで、突然飛躍した妄想を抱いたわけではない。

このことは、別に批判するわけでもなく、出版社との諸事情があったならそれはそれで仕方がないし、原作者がそうしたかったのならそれでいいし、理由はいずれにせよ、時系列が矛盾しようが、永遠の高校二年生であろうが、まだまだ沢山の事件簿を排出してくれるのなら読者としては大歓迎です!

やっぱり、純粋に金田一が難事件を解いていくのは面白いですし、連載とともに推理をすすめていくのも毎回楽しみにしているので、終わってほしくはありません。

推理漫画というジャンルを切り開いたことは素晴らしいことですし、ここまで入り込める漫画、そして、ここまで何度も読み返すような作品は他にはまずないと思っています。

金田一が事件を推理していく限り、このhighspeed-boyこと高速少年もついていきます!

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