
過去の作品ですがここらへんから、感想でも書いてみようかと思います。
基本的に毎回自分で推理はしてるので、ひとつの作品を何度も読み返してるので作品に対する思い入れが強くなったりしますね。
Contents
あらすじ
高校二年生の金田一一は、いつも気の抜けたひょうきんものだが、実はかの名探偵・金田一耕助の孫!
ひとたび事件に関われば、ずば抜けた推理力で犯人が仕掛けた難解なトリックに、幼馴染の七瀬美雪と共に挑んでいく!
そんな一たちが「雪鬼」によって村人たちが惨殺されたという伝説の残る地で起きた、世にも不可思議な死体が消える殺人事件に巻き込まれていくのだが・・・!?
東北・雪鬼ヶ岳にオープン予定の「スノーゴブリン・スキーリゾート」に、モニタースタッフとしてやって来た金田一と美雪。
リゾート開発を担うネット企業「うぇぶすれっど」の社長と6人のゲストモニターが揃い、和やかなひとときを楽しんでいたはずだったのだが・・・・。
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登場怪人
雪鬼
場所
雪鬼ヶ岳
話数
全11話
連載
週刊少年マガジン 2013年52号~2014年14号(7号/11号休載)
登場人物
金田一一
七瀬美雪
月見里光
「うぇぶすれっど」CEO、雪鬼ヶ岳スキーリゾート開発を担う。
黒木守
「うぇぶすれっど」月見里光の秘書。
影平文芽
女子高生アルバイト、イメージガールの座を美雪と競う。
鯖木海人
[ゲストモニター]無職、ネットおたく。
雲沢夏樹
[ゲストモニター]高校3年。
椿原紅湖
[ゲストモニター]共東女子大学1年生。
鷹山翼
[ゲストモニター]プロスキーヤー兼スキーコンサルタント。
斧寺空美
[ゲストモニター]東京大学3年生。
柊森一郎
[ゲストモニター]京庸大学2年生
松島田学
シェフ
相馬真紀
不動高校2年F組、スキーでケガをし美雪に代役を頼む。
見立て・前フリ
雪鬼伝説
50年前の大晦日の夜、雪鬼ヶ岳にあった村では、ちいさいながらも上質な琥珀が取れていた。
そのため、村人はみなそこそこ裕福な暮らしをしていた。
その日はどこの家の家族全員が揃って、村では伝統行事になっている「なまはげ」の一種「雪鬼」の行事の準備をすすめていた。
「嫉妬深いものはおらんか~」
「人の悪い噂を流すものはおらんか~」
「イジメをするものはおらんか~」
バンバン
夜遅くに戸を叩く音
村人
「はいはい」
「おや」
そこには、しんしんと降り積もる雪の中で、「雪鬼」の格好をした者が立っていた。
ドッ
村人
「!?」
「嫉妬深いものはおらんか~」
「人の悪い噂を流すものはおらんか~」
バンバン
村人2
「雪鬼が来たぞ」
「・・・え」
雪鬼の仮面をかぶった大男は、一軒一軒家を回っては惨殺を繰り返し、生き残ったのはたった一人の12歳の女の子だけだった。
翌日、雪がやんだあと、命からがら山を下りた女の子の訴えによって、警官隊が村を訪ねてみると・・・。
不思議なことに、血の跡は残っていたが、村人のしたいは一つも残っていなかった。
その後、地元の人たちは口々にこう言った・・・。
「村の人間は雪鬼に食われてしまったのだ」
事件簿
問題編
第一の事件「雲沢夏樹失踪」
個人ごとに用意されたコテージで一晩を過ごしたメンバーだったが、朝食の時間になっても雲沢がの姿が見えないため、コテージに行って読んでくるよう黒木に頼まれた金田一。
標識と方角を頼りに雲沢のコテージに到着した金田一だったが、コテージの中に雲沢の姿はなく、荷物や着替えを残したまま、雲沢の姿はどこにもみあたらなかった。
月見里と黒木を呼び、どこかへ行ったのかもしれないと予想した金田一は、スキー板があるかどうか確認したが、雲沢のスキー板だけではなく、全員分のスキー板がなくなっていた。
助けを呼ぼうと試みた黒木だが、3台あった無線機がなくなっており、山頂ロープウェイ乗り場にある無線機で助けを呼ぼうと考え向かうが、リフトが使えなくなってしまっていた。
雲沢失踪の謎
・金田一が雲沢のコテージに到着したときにベッドを調べたが、暖房はついていたのにベッドは冷たかった。
・深夜には外気温度はマイナス20℃近くになるが、雲沢はスキーの時にはかなりの軽装だった。
・雪が降り積もる中、夜11時頃にコテージに戻った金田一と美雪の足跡はうっすら残っていたが、夜9時頃に戻った雲沢の足跡は消えていた。
・金田一たちがメインロッジを出る直前に、黒木がインターホンで雲沢と会話し、その時にはコテージいたことを確認している。
・全員分のスキー板と、3台あった無線機はなくなり、リフトは使用できなくなっていた。
・雲沢のコテージ周辺に人が踏み込んだ様子はない。
第二の事件「鯖木殺害と死体消失」
メインロッジでくつろぐメンバーだったが、突然、窓ガラスを割って血のついた鉈が投げ込まれる。
鯖木がいないことに気がつき、手分けしてす・・・。
そして勝手口から雪の上に、血と何かを引きずったような跡があり、離れの小屋へと続いていた。
廃村になった名残の山小屋で、今は荷物置き場として使っている小屋だが、雪鬼ヶ岳の遭難者捜索拠点だったため、山から下ろすまで、一旦遭難者の遺体を一旦安置していた小屋だったため、沢山の棺桶が棚の中に収納されていた。
いつもは棺桶が棚に収納してあるはずなのだが、一つだけ出ている棺桶があった。
不思議に思った黒木が棺桶を開けてみると・・・。
古びた木製の棺桶に押し込まれていたのは、鉈で頭をかち割られ、息絶えた鯖木海人の血まみれの死体だった。
これ以上悪いイメージを持たれることは堪らないと思った月見里は黒木に手伝うように指示し、棺桶を二人で棚の中に押し込んだ。
警察がくるまではこのままにしておくことにし、ロッジへ戻ったメンバーだが、ロッジに鉈が投げ込まれた時には鯖木を覗く全員がロッジの中にいたことから、鯖木はメイクで死体のフリをして嫌がらせをしているのではないかと疑い、月見里、黒木、金田一の三人でもう一度鯖木の死体を確認しに行く。
月見里と黒木の二人で、棚の中にしまってある、先ほどの棺桶を手前に倒し蓋を開けるが中には鯖木の死体はなかった。
月見里は雲沢と鯖木がグルだと考え、鯖木の部屋へ向かい、その後を追う金田一。
鯖木の部屋の中で女物の髪留めを発見し、二人はグルで、雪鬼伝説を利用した嫌がらせで間違いないと言う月見里だが・・・。
鯖木殺害と死体消失の謎
・最初に見た棺桶の仲の鯖木の死体は間違いなく死体だった。
・棺桶を棚に押し込んだ後、20分あまりの時間で棺桶の中から消えてしまった。
・鉈が窓から投げ込まれた時には、ロッジの中には鯖木以外は全員いた。
・鯖木の部屋に女物の髪留めが落ちていた。
鉈の投げ込みトリック解明
屋根の雪ズリをヒントに、トリックを思いつき、雪の中から最近置かれたものらしき、古い木の桶、古い木の板、石を発見する。
そしてそのアイテムで、鉈の投げ込みトリックを解明する。
石と板でシーソーを作り、鉈と空の桶をセットし、さりげなく暖房を強くすることで、屋根の雪を溶かして雪が滑り落ち、その雪が桶に落下し、その反動で勢い良く鉈が飛び、窓を割ってロッジ内へ飛び込み、ロッジ内では鉈が投げ込まれたと思わせたものだった。
はじめは、このことで、鉈の投げ込み時のアリバイは無効になったことと、真犯人がメンバーの中に潜んでいると確信する。
第三の事件「美雪襲撃事件」
鯖木の部屋で雲沢、鯖木のミッシングリンクのヒントが隠されていると思われるパソコンを発見する。
その中に、鯖木のネットでの中傷によって自殺したとみられる、スノーゴブリンスキーリゾートイメージガールだった「雪原さやか」に関するデータを見つける。
さらに詳しく、一連の事件を結びつけるミッシングリンクなのかどうかを調べるために、美雪が周囲にバレないようにパソコンを持ち帰り調査し、はじめは色んな人に聞き込みに向かう。
ネット上で鯖木が雪原の誹謗中傷をしていたと思われるデータを発見するが・・・。
美雪のコテージのほうから窓ガラスが割れる音と悲鳴が聞こえ、慌ててむかう金田一。
雪鬼が部屋に来たために逃げ出してきた美雪は金田一と合流し、再び美雪の部屋に行くと、部屋中がズタズタにされていた。
雪の中の足跡が、美雪のコテージから鯖木のコテージにむかっているため、月見里の指示で後を追う黒木と松島田。
しかし、鯖木のコテージからは足跡はわからなくなっていた。
美雪がもし逃げ遅れていたら、ベッド、コートなどズタズタにされていた部屋のように切り裂かれていたかもしれないのだが・・・。
美雪襲撃事件の謎
・美雪が一人で鯖木のパソコンを調べている時にタイミングよく襲った。
・美雪は無事で部屋はズタズタに切り裂かれていた。
・足跡は鯖木の部屋に向かい、そこからわからなくなっていた。
金田一が山頂から見たもの
なんとかリフトを復旧し、山頂まで上がった金田一は、コテージのある麓を見下ろし、違和感を感じる。
そして何かを思い出したようにスマホを取り出し画面を見る。
「どういうことだ・・・これは・・・!?」
金田一が探していたものは?
山頂で何かに気がついた金田一は、再び雲沢のコテージに戻り、部屋のゴミ箱をひっくり返し「やっぱりない・・・」と言うが一体何を探していたのか?
金田一は何をしに外へ出たのか?
何かが雲沢の部屋にないことに気がついた金田一は今度は外へ出て、雪の中を歩き始める。
そして急に立ち止まる。
「わかったぜ、雪鬼に食われて消えた雲沢夏樹の真相が」
金田一は何をしに外へ出たのだろうか?
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解決編
※以下ネタバレ注意※
まだ解決編を読んでいない方は、ここからはネタバレのため注意して下さい。
次に殺害しようとするのは椿原だと読んでいた金田一は、椿原を囮に、コテージ内でで待ち伏せし、雪鬼が現れたところで取り押さえ、犯人を確保する。
この二つの殺人は、2年前に自殺したアイドル候補生、雪原さやかの恨みを晴らすための復讐劇だったと言う金田一。
そして、同じ中学出身で同じスキー部の先輩だった椿原が部活でいじめをしている様子を撮影し、ネットにばらまいたのだと追及する。
同じように、クラスでのいじめの画像をネットにばらまいたのが雲沢、それらをさらに派手にばらまき、悪意に満ちた書き込みであおっていたのが鯖木と言う。
鯖木の死体消失トリック
鯖木の死体が入れられていた棺桶は、上からふたを開けると一見普通の棺桶で、中に入っている死体がそのまま見えるが、側面と底面に直角につけられていて、横に倒すと側面の板が底板のようになり、死体が見えなくなる。
つまり、2度目に確認した時には、底板のように見えていた板の裏側には鯖木の死体があった。
それを後からこっそり引きずり出してどこかに始末した。
犯人
月美里 光
決定的発言(犯人のミス)
美雪が雪鬼に襲撃された後、部屋に様子を見に来た月美里が
「これで犯人が鯖木だってことは決定的だな」
「きっとそのパソコンには犯行計画とか証拠になることが書かれてたから壊しに来たんだ」
と口にする。
美雪の部屋で壊されたパソコンを見ても普通は美雪のパソコンが壊されたとしか思わない。
それを鯖木が自分のパソコンを壊しに来たと言ってしまった。
壊されたパソコンが鯖木のものであるということは、美雪、はじめ、鯖木(故)、犯人しか知らない情報なので、月美里が犯人であると決定づけることになる。
雲沢失踪トリック
金田一は到着した時に山頂から撮影した写真と、後から調査のために山頂に登った時に見た風景と見比べて、コテージが一つなくなっていることに気づく。
月美里は、まず、モニターとして集められたメンバーの荷物は、事前に送られていたため、ターゲットの雲沢の衣服などを目立たない程度に盗み、それを誰も入る予定のないコテージに置いておき、あたかも彼女がそこにいたかのように偽装する。
偽装コテージは、消失したコテージよりやや奥にあり、あらかじめ手前のコテージの明かりをつけておく。
雲沢は、パーティーが終わり、暗くなってからコテージへの案内図を渡され明かりがついているところと言われ、何も見えない夜の雪道で、標識を頼りに大体の方向へ向かうと、最初に見えてくるのが、明かりのついたコテージのため、そのコテージに入る。
雲沢のコテージは氷の張った池の上に建てられていて、コテージを取り囲むようにして、池の氷がとけるように電熱線をはりめぐらせておき、雲沢がコテージにいる間に、月美里はメインロッジにある電熱線のスイッチをいれ、夜の間にコテージごと沈ませて消失させ、雲沢殺害と死体の始末を同時に行った。
一旦池に沈んだ氷のふたは、夜のあいだに再び浮かび上がり、氷点下10℃以下の極寒の中であっという間にまた凍り付いて、その上に雪が降り積もり、自然と証拠は消えてなくなる。
動機
中学時代から月美里と雪原はつきあっていた。
ネット浸りのパソコンオタクだった月美里を「才能がある」と応援してくれた雪原。
月美里はIT社長を目指し、当時ぽっちゃりしていた雪原は、互いに向上し合うために、アイドルデビューを目指すと決めた。
月美里の仕事がうまくいきはじめ、雪原も少しづつ花開きはじめていた。
女にだらしないキャラを演じ、雪原と一定の距離を保ちながら、月美里の会社は急成長していった。
月美里は、自分の経営するスキーリゾートのイメージガールに雪原を抜擢しようとしたところ、そのことがスポーツ新聞の芸能欄に掲載されてしまう。
それを皮切りに、妬みからか、雪原をネット上で叩くものが増えはじめ、雪原には絶対見ないように念押しする。
しかし、月美里が海外にいる間に、雪原の中学時代のいじめ画像がネットに流出してしまう。
そして嫌がらせの書き込みをするモノが現れ、月美里も書き込み消去で応戦したが、出先のノートパソコンでは太刀打ちできず、掲示板は、雪原の悪口一色となっていった。
そして、月美里が帰国した時には雪原は自殺していた。
クラスでのいじめ画像をネットに流したのが雲沢、掲示板で嫌がらせをしたのが鯖木、雲沢同様、部活でのいじめ画像をネットに流したのが椿原だった。
月美里は雪原さやかの自殺に対する復讐として、雲沢、鯖木を殺害し、椿原も殺害しようとした。
最後のいい話
雪山で自殺したと思われていた雪原だったが、金田一が、掲示板の雪原から月美里への隠されたメッセージを見つけ、いじめに屈して自殺したわけではないことがわかる。
雪原は雪山で自殺したのではなく、単純に雪山で遭難し、命を落としてしまっただけだった。
殺人犯として追い込まれていた月美里は、椿原を人質にとらえ、崖の上の爆弾を爆破させ、そこにいる全員と心中しようとしていたが、金田一の話を聞いて、雪原はネットの誹謗中傷で自殺したと思っていたのは自分の勘違いだったとわかり、自分以外は逃げるように伝え、起爆スイッチを押してしまう。
逃げるしかなくなったメンバーは安全な場所へ避難し、月美里のみ雪崩に巻き込まれてしまう。
その後、救助のヘリが到着し、すぐに月美里の埋まっている場所を発見し、たまたま空洞になっているところに埋まっていて窒息せずに済んだために、月美里は一命をとりとめた。
月美里が雪崩に巻き込まれ埋まってしまったが、何かの目印のように一本のスキー板が雪に立っていたために、すぐに発見することができ最悪の自体を免れた。
そのスキー板には『SAYAKA.Y』と書かれていた。
さやかのスキー板のおかげで自分の命が助かったことを知り、涙を流す月見里。
復讐に燃える雪鬼と化した殺人鬼も、もちろん一人の人間だった。
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