教会のトリックは矛盾している!!

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金田一少年の事件簿
ファイル②
異人館村殺人事件


※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体名等とは一切関係ありません。

※以下からの内容はネタバレを含みます。 推理が完了していない方はご注意下さい。

※読まれる方によっては、気分を害される内容が含まれている可能性もあるので閲覧にはご注意下さい。

異人館村のしきたり

時田若葉は連城久彦との結婚式の夜教会で一夜を過ごす。
それは、村に教会ができた時からのしきたりで、結婚前夜、花嫁はウェディングドレスを着て、汚れない姿でこれまでの罪を悔い改める。
付き添いの女性が一人で教会の入口の前に立ち、寝ずの番をしている間、花嫁は一人きりで教会の中にこもる。
そして、祭壇の前に置かれたベッドの上で横になり、天窓からそそぐ月光を浴びながら、目を閉じて夜通し祈りを捧げる。

時田若葉殺害

若葉が教会にこもり、残る村人がパーティーをおこなっていた最中、突然、教会の鐘が鳴り始める。
それもしきたりかと思われたが、六角村で教会の鐘を鳴らすのは葬式の時だけだという。
異変を感じ、教会へ向かった一同だが、正面の扉は鍵が掛かっていて開かない。
そこへ、小田切が車のウィンチのワイヤーを引っ張ってきて、フックを扉の取っ手にかけて引き、無理矢理扉を開ける。
教会の中に入り、祭壇の前の若葉のところへかけつけるが・・・。


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血の海と化したベッドの上には、純白のウェディングドレスを血に染めた時田若葉の「首のない死体」が横たわっていた。
金田一たちが見た「首のないミイラ」と同様、首を切られて死んだ時田若葉・・・。
ドレスの裾に残された「七人目のミイラ」とは一体!?

完全な密室殺人

教会の出入り口は正面の扉のみで、事件があった時、扉には中から閂が掛けられ、窓も全て内側から鍵がかかっていた。
天窓には鉄格子があり、頭ひとつ入るのがやっとで人間が出入りすることは不可能。
そして、事件後に駆けつけた青森県警も、教会には隠し通路もなければからくりもないことがわかる。
つまり、時田若葉が殺害された時、教会は完全な密室だった。

トリックを解明

犯人の目星をつけた金田一は、教会に残されていたトリックのヒントを発見し、真犯人の特定と、時田若葉、兜霧子の殺害の方法を解明する。
金田一の説明ではこう

時田若葉は、教会に閉じこもる前、最後に会いたい人がいるからとでも言いくるめて、霧子をだまし、自分の身代わりをさせた。
霧子と若葉は入れ替わり、ウェディングドレス姿となった霧子は一人教会の中に閉じこもり、内側から全ての鍵をかけ、密室が完成した。
そして霧子は若葉の代わりにベッドに横になった。

一方、天窓から様子を伺っていた若葉は、霧子が目を閉じたのを見計らって、クロロホルムを染みこませた布をおろし、彼女の顔にかけた。
そうすることで、霧子は多少のことでは起きなくなる。
次に、フックのついた丈夫なロープを四本用意して、それをベッドの四隅に引っ掛ける。
小田切が持っていた延長コードのコードを全てだし、そのドラムを教会の鐘の部分に据え付ける。
これを滑車にして、ベッドに引っ掛けたロープを小田切の車のウインチと繋いで引き上げる。
天窓ギリギリまでベッドを引き上げ、血が噴き出さないように霧子の首を絞めて殺害したあと、霧子の首を切断し、首だけを持ち出した。

小田切は若葉に霧子を殺させたあと、犯行成功の合図として、教会の鐘をならさせた。
その鐘を聞いて金田一たちが集まり、教会の扉を開けようとしている時、小田切はこっそり抜け出し、待ち合わせの場所で若葉と落ち合い、彼女を絞殺した。
その後、村人が寝静まったのを見計らって、若葉の死体を教会へ運び、ドレスを着せて霧子の死体と入れ替えたあと、若葉の首を切断し霧子の死体と一緒に持ち去った。

吊り上げトリックは困難!?

クロロホルムを染み込ませた布を顔にかぶせた?
これは、まず、霧子が完全に眠っていないと成功しないので、全く完璧な作戦ではない。
後にも出てくるが、しきたりを再現していることが大前提で、なおかつ熟睡していることが条件。

普通、クロロホルムで気絶させる場合、クロロホルムを染み込ませた布を、無理やり鼻と口に押し当てて、被害者に吸引させることで気を失わせるが、少し吸い込んだくらいでは気を失ったりはしないはず。

さすがに布が顔にかけられれば目を覚ましてしまうし、ましてや眠ってもいなければ、上から下りてきた布に気付いて、このトリックも大失敗どころか、何をしていたのかと問い詰められてしまう。

となると、霧子が布をかけられても起きないくらいに熟睡しているのを確認した上でおこなわなければならないのだが、それをどうやって確認したのだろうか。

次に、ロープとフックについてだが、四本のフックのついたロープでベッドを吊り上げた、としているが、まずそのフックをどうやってベッドの端にかけたのだろうか。
何度もチャレンジすれば不可能ではないが、四本となるとかなり難しく、引っかけたまま束ねて引っ張っておかなければならないのでそう簡単ではない。

そして犯行後も、ベッドにかけたフックをはずすことも相当困難なはずだが・・・。

犯行に使うフックつきのロープも、ウインチのワイヤーにつないで使うということは、若葉が持って上がったことになるのだが、教会の天窓からベッドまでの高さはそこそこ高く、ロープの長さもかなりの長さになると思われ、重量もれなりに重くもなる。

それを若葉は持って上がったのだろうか?

オペラ座館の有森に続き、実行犯というのは身体能力が高いからこそ犯行を可能にしているのかもしれない。


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しきたりの再現は矛盾している

金田一の推理では「『最後に会いたい人がいるから』とでも言って入れ替わったんだ」と言っているが、これはまず間違っていると言える。

それはなぜか?

それは、金田一の言っているような頼み方をしても、霧子が教会の中で新婦と同じことを再現するとは限らないからだ。

このしきたり自体をよく考えてほしい。

新婦は教会の中にひとり閉じこもり、祭壇の前にあるベッドに横になり、月光を浴びながら祈りを捧げる。
そして付き添い人が一人、正面の入口の前に立ち寝ずの番をする。

金田一が風祭にしきたりのことを聞いた時は確かにそう話している。

この話で注目するのは新婦のほうではなく、付き添い人のほう。

入口の前で夜通し寝ずの番をするということは、いなくなってはいけないはずである。
それなのに、「会いたい人がいるから」と頼み、入れ替わると、付き添い人となった若葉がその場からいなくなることになり、付き添い人が入口の前から離れることになってしまう。

しかし、実際には、入れ替わった後にその場を離れている。

そのことから、例え付き添い人がいなくなったとしても、誰も見てはいないからわかりはしないということだ。

だとすると、なぜ教会の中にいる霧子は新婦のしきたりを忠実に再現しておこなっていたのだろうか?

外から見てわかる付き添い人になった若葉は忠実に再現しなくてもいいのに、外からは見えないはずの、教会の中にいる霧子は忠実に再現する必要があるのだろうか?

ここが不思議でならない。

誰も見ていないから入れ替わりは可能なのに、誰も見ていないのに再現している、という二つの要素が同時に成立し、完全にここは矛盾している。

若葉と霧子の交渉

では、どうやって霧子と入れ替わる交渉をしたのだろうか?

金田一の推理するような言い方では、若葉が

「私はあなたのフリはしないけどあなたは中で私のフリをして」

と言っていることになり、交渉どころか話が無茶苦茶で、普通に考えたら霧子がこれを了承すること自体がおかしい。

前にも書いた通り、付き添いがいなくなってもいいのなら、誰もそれを監視はしていないということになり、中で何をしていようが、もっとどうでもいいはずである。

というか、中で再現する必要がないどころか、そもそも二人が入れ替わる必要はないはずだ。

どういうことか?

これを読んでいて頭がごちゃごちゃになっているかもしれないが、話は単純で冷静によく考えてほしい。

新婦と付き添い人が入れ替わって、付き添い人となった若葉がその場を離れていることからわかるように、とにかくこのしきたりには、二人の他には誰も見ていないということは確定する。

では、若葉が「最後に会いたい人がいるから」と霧子に話したとする。

するとどうなるか・・・。

「そうですか」

「私はここにいますので、朝までに戻って来るのなら行ってきてもいいですよ。」

と返されるだけなのだ。

つまり、「最後に会いたい人がいる」と言っても、入れ替わる理由にはならず、ましてや教会の中で再現する理由にもならない。

仮に、霧子に再現させるための口実として、「誰かが見ているかもしれないから」というのならば、外にいる付き添いのほうが人目につくので、若葉もそれを守らなければならなくなる。

霧子にはそう言っておいて、実際には、お互いに何をしているか見えない状況なので、若葉はそれを守る必要がないから離れたとしたいのだろうが。

その前に、「誰かが見ているかもしれないから」と言って再現させようとすれば、霧子は「それなら入れ替わらずにそのまま抜け出したら?」と絶対にそう言うはずである。

ここで、なぜ入れ替わりたいのかが霧子は疑問に思い、納得はしないし、仮に入れ替わってもその約束を守る必要もない。

入れ替わった若葉が屋根に上り、天窓から覗いた時に、霧子が再現していなかったらどうしていたのだろうか?

この入れ替わりトリックによる二人の殺害が、この連続殺人の始まりであり、犯行不可能な密室殺人によって、呪いによる見立てのために、重要な役割を果たしている。

というか、怪事件はこの一件しかなく、他は全てスキをついたただの猟奇殺人となっている。

そのため、たった一回しかないこのチャンスでこの密室殺人を失敗すると、先へは進めなくなるため、失敗は許されないはずなので、霧子には確実にしきたりを再現してもらわないと困るはずなのだが・・・。

どう考えても、霧子が再現している理由が見当たらなし、そのように誘導するための交渉の言葉も思いつかない。

他の殺人は、普通にスキをみておこなっていることから、この殺人に失敗したとしても、ターゲットを全員殺して回っていたかもしれない。

ん?

最初からそれでよかったのでは?

現場入り放題、殺し放題、何一つ見つけられないあのポンコツ刑事ならただの連続殺人でも可能だったのでは?


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コメント

  1. オレンジデーモン より:

    こんにちわ
    粗をつつくと言うより、新たな意見と言うつもりでコメントいたしますが、不快に感じさせたら申し訳ありません。以後、自重します

    最初のトリックは呪いの見立ての目的は、霧子(の遺体)が見つかるまでは警察は彼女をスケープゴートにすること。お陰で六星は教会の事件時アリバイがあって警察の監視が緩く、一色と草薙殺しは容易かったと言ってます
    何故か単独犯説が前提で、若葉と霧子殺しでアリバイから、捜査の手は緩んでいます
    要するに捜査の攪乱です

    トリックでロープの重量の問題ですが、解決手段はロープの端だけを持って屋根に上ること。そうすれば、ロープ全体ではなく一部の分だけで済みますので、女性でも可能ですが、問題は瞬間的な重量問題は解決しても全てを持っていける訳ではないので、何回か屋根を上り下りする必要が生じる事と、束ねているロープは半端に引っ張ると絡まってしまう事がよくあるので、端を持って離れた距離から引っ張るのはその危険があること

    霧子は再現と言うか、ベッドで寝てもおかしくないと思います
    性格は不明ですが霧子は、時計の館の道を教え、若葉の頼みを聞くなど愛想がないだけで優しいのでは?説が囁かれています。会いたい人ではなく、元カレが出席しており、案外と駆け落ちを理由にされたら年頃の少女なので、理解があった?かもしれませんが、とにかく服の入れ替えは、駆け落ちなら動きにくいウェディングドレスより動きやすそうで夜の闇に紛れる黒いドレスに変えても不自然ではないかも

    まあ、入れ替われた理由は重要ではなく、霧子が再現する理由ですが、結婚式が問題なく行われる時の霧子の立場(花嫁の付き添い兼立ち合い)として一番の苦難と言うか問題は、時間潰しです
    霧子本来の仕事は、身も蓋もなく言えば教会で一晩立ちっぱなし
    時代が違うのでスマホもなく、長時間ただ立って時間を潰すのって、相当な苦行です。花嫁と入れ替わっても時間潰しが霧子にとって最大の問題であり、ベッドで仮眠を取るのは時間潰しになる上に、もしも駆け落ちの援助なら何らかの理由で教会に人が来ても、花嫁の安否が最優先かつ自分に目が向いて若葉の逃げる時間を稼げるのでドレスの高官は更に理由が生じます。教会に何か時間潰しがなければ再現自体は不自然ではないはずです
    もしかしたら、将来の結婚の予行演習と言う乙女チックな理由もあったかもしれません(そう考えると、霧子は幸せな夢の中死ねたのは唯一の救いか、逆に皮肉な不幸なのか)
    眠っていたかの判断は、これは運としか言いようがないですね。霧子がイビキをかいていたらシリアスぶっ壊しですが
    但し、飽くまで仮眠が取れるので霧子が再現するのは不自然ではないだけで、霧子が別な事で時間を潰していたらまた、別の意味でぶっ壊し

    1. hs-boy より:

      オレンジデーモンさん
      コメントありがとうございます。

      入れ替わりの件についてですが、確かにおっしゃる通りで切子にもそれなりのメリットがあり、リアルにその時の状況と会話を想像してみるとそこまで不思議ではないですね。

      ただ、はじめは「会いたい人がいるからとでも言って・・・」と言っていることに違和感を感じていました。
      つまり、入れ替わりがありえないわけではなく、はじめの推測が間違っていたことになりますかね(^^;

      やはり「会いたい人がいる・・・」だけでは全て完璧には無理なように思います。

      ロープの件は、確かに端を持って上ればできないこともないでしょうが、上れば上るほど長さは長くなり、例え端を持っていたとしてもずっと引っ張っていかなければならないのでかなりの重労働には変わりはないでしょうね。

      記事内容はいつもその時に思ったことを書きなぐっているので、作品にツッコミながらも私の記事自体にもツッコミどころは満載だと思います(^^;

      ただ、こうした様々な見解を語り合うことも作品の楽しみ方のひとつだと感じていますので今後ともよろしくお願いします。

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